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ハト豆ねっと


おしゃべりインタビュー



ハト豆記者のおしゃべりインタビュー!

今月は、

樹木医の
『野口俊文』さんです。


■■■地域の緑を守る、木のお医者さん

■■■■■■■樹木医になるために漆職人から転身!


 天然記念物に指定されているような巨樹・名木から身近な街路樹・庭木に至るまで、樹木が傷んだり、何となく元気がなくなったり、病気になったときに治療してくれるのが、木のお医者さん・『樹木医』です。
樹木医は、専門的な知識を活かして地域の緑の普及啓発活動をしたり、人間のお医者さんと同じように、病気になった樹木の診断をして、治療をしたり、予防・保護をします。
「そんな仕事があるなんて知らなかったわ!」という人も多いはず。樹木医の歴史はまだ浅くて、資格が出来てからは16年ぐらいしか経っていないんだそうです。
7年以上の実務経験と専門知識を持った人に受験資格が与えられますが、全国には約1600人の樹木医がいるんですって!
 そこで、植木の街・安行で樹木医として活躍する、(株)安行造園の野口俊文さん(54歳)にインタビューして、樹木医の仕事や、地球温暖化対策の一環として開発された、いま話題の『安行四季彩マット』のことなどを聞いてみました。


ハト豆:

「樹木医」になられてどのくらいですか?

野口さん

野 口:

4年ぐらいです。
いろんな植木屋さんにも行きましたが、安行造園に入ってから11年になります。
この道に入ったきっかけは、樹木の研究家で日本で初めての「樹医」といわれている、故・山野忠彦さんの考え方に賛同したからなんです。
樹木の治療と称して、今までいろんな事が行われてきたんですが、いろいろ調べていくうちに、生理学上、それが正しいとはどうしても思えなかったんですよ。
それが植木屋の世界に入った要因の一つなんです。

ハト豆:

それじゃ、もともと植木屋さんではなかったんですか?

野 口:

前は木工所で漆職人をやってました。

ハト豆:

じゃあ、漆から植木に興味を持ったということですか?

野 口:

繋がりはないんですが、樹木治療に疑問を持っていたこともあって、今まではうちから木を見ていたので、外から木を見るのもいいかなと思ったんです。

ハト豆:

「樹木医」の仕事はどんなものですか?

野 口:

発足した一番の理由は、日本に自然がなくなってきて、巨樹・古木・天然記念物の管理をきちんとできる人間を養成しようというのが本来の目的だったんです。
それから一般の樹木も扱うようになったんです。お客さまから「木が枯れそう」とか「木の具合が悪いので見てくれない」という依頼があれば、お客さまのところに行って樹木診断をして、現状調査をします。
私の場合は、できる限りの原因を調べて、要因はいろいろな要因が重なっている場合が多いので、主因となるもの、起因となるものを可能な限り突き止めて、回復させるにはどういう方法があるのかを報告します。
治療にはお金がかかりますが、私は外科治療はあまりやりません。意味がないと思っているんです。
例えば、木が途中で腐っているから、そこを削ってモルタルをつけるとか、ウレタンをつけるとかしますね。
でも一番大事なのはその木の健康状態がどんな状態なのかということなんです。
現在、腐朽が進行中なのか、止まっているのか、回復に向かっているのか、まずそれを見なくてはいけないんです。
一目見ただけでは分からないんです。数ヶ月、数年単位で経過観察をしなくちゃいけないんですよ。経過観察もしないのに外科治療すると、中ではどんどん腐朽が進んでいたりして、何の意味もないんです。
そういうことをするよりも、一番大事なのは根茎、根っこだと思うので、土壌改良で根っこを健全にして、木が自分の力で腐朽菌に対する抵抗力をつける手助けをしてあげます。それから「腐朽が止まったな」という時点で、中を詰めたりして、蓋をするんですが、カルスという人間でいうと皮膚みたいなものが覆って蓋をしてくれないといけないんです。
そこまでするにはかなりの知識と技術、経験が必要になります。

ハト豆:

樹木の持つ自然治癒力を活かすということですか?

野 口:

植物も人間も動物も基本的にはみんな同じなんですよ。
ですから弱ってる木にどんどん肥料をやるというのは私はあまり好きではありません。弱ってるときは、もし肥料をやるんなら薄めてあげる必要があります。
人間だって体調が悪いときはステーキはイヤですよね。
おかゆの方がいいですよね。
基本的にはそういう考えなんです。
まず根っこを大事にする。根っこを大事にするということは、その淵だけでなくて、樹木に対して根っこが張る範囲まで土壌がちゃんと維持されているか、土の状態がいいか、光条件がちゃんと整っているか、そういうことを考える必要があると思います。

ハト豆:

一般の方からの依頼にはどんなものがありますか?

野 口:

お父さんが亡くなって、お父さんが大事にされていた木だとか、子どもが生まれたときの記念の木とか、思い出の木というのが多いですね。
樹木医に頼むと値段が高いと思っている人も多いようなんですが、そんなことはありません。
私は植木屋としての修業もしていますし、樹木医としての勉強もしていますから、理論に基づいた実践をもとにやっています。メールや電話での相談だけなら無料でやってます。

野口さん

ハト豆:

樹木医として、今まで一番難しかったことは?

野 口:

お客さんに如何に理解して貰うかということですかね。
お客さんだけじゃなくて植木屋もそうなんですけど、1回治療しただけですべてそれだけで終わりだと思ってる人が多いんですね。
それで終わりじゃないんですよ。
例えば、大病をして1回だけ先生に診て貰って、薬を貰って終わりってことはあり得ないですよね。
私たちのところに来る木って、大抵そうなんですよ。
どうしようもなくなって来てるので、治療には時間がかかるんです。
私はよくお客さんに「何十年もかけて悪くなったんでしょ。
それを1回や2回の治療でよくなるというのは人間でもあり得ないですよね。
そこら辺を理解してください」って言うんですよ。

ハト豆:

初期だったら早く治るというわけですね。

野 口:

でも初期に来ることはまずないですね。
基本的にきちんとした切り方で、きちんとした位置で切ればそんなに悪くはならないです。後、土を裸地にしないことですね。草も生えない土地は恐くないですか。
裸地だと雨も直接あたりますので土の表面が固くなります。
表面が固くなると雨水が中に入っていかなくなるんです。

ハト豆:

植木の剪定も切る人によって、随分違うんでしょうね。

野 口:

違いますよ。昔は何年も修業をしたんですが、今はそういう修業がなくて早ければいいという風潮になってきてますからね。
基本的に植物はなまけものなんで、無駄なことはしないんです。
葉っぱも枝も必要だからあるんで必要以上のものは出さないんです。そこで剪定をするということは非常にストレスを与えてるんです。
そのストレスを如何に少なくしてやるかが大事なんです。私は若い子に、お客さんに「あなたが切ると伸びてからがきれいね」と言われるようになりなさいと言ってるんです。
「サッパリした」と言われれば、俺の腕は「まだまだだな」と思った方がいいんです。
サッパリは誰が切ってもするんです。「自然にきれいになったわね。どこを切ったの」と言われるようになるのがいいんです。
ゴミはちゃんと出るのに自然で切り口も見えないし、一回り小さくなってきれいな感じというのが本当の技術だと思うんです。

ハト豆:

新しく開発された「安行四季彩マット」はどんなものなんですか?

野 口:

私も開発当初から関わってきたんですが、埼玉県で開発されたものを川口市都市緑化植木組合で商品化した、ユニット式の植栽マットです。
簡単に屋上緑化やベランダガーデンができるので、ヒートアイランド現象の緩和にも役立ちますし、イベント展示などにも利用できます。
薄くて軽いのも特徴です。
テレビでも紹介されて、大きな反響がありました。鳩ヶ谷駅で開催された夜祭でも展示させて貰いました。

ハト豆:

小さなベランダでもできるんですか?

野 口:

出来ます。だだ、マットのみの販売はしていません。
講習会を受けられて、ある程度慣れた方には量販価格でお譲りしています。

ハト豆:

温度も随分違うんですか?

野 口:

私も実験してみたんですが、全体の65%以上ないと効果がないですね。先日のお客さまの場合は今まで4階が一番暑かったんだけど、屋上緑化をやってから3階が一番暑くなったと言うんです。つまり3階が暑くなったのではなくて、4階が涼しくなったというわけなんですよ。断熱・省エネ効果、空気の浄化・炭酸ガスの吸収にも効果があります。

安行造園

ハト豆:

これからの抱負は?

野 口:

樹木医として、剪定とか、そっちの方の勉強がまだまだ足りませんので、それに力を入れたいと思っています。
それと同時にビオトープという生態系の方もしっかり勉強していかないと・・、これからは生態系を考えなきゃいけない時代ですから、それも踏まえて両方やっていきたいと思います。

ハト豆:

ありがとうございました。




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