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ハト豆ねっと


おしゃべりインタビュー



ハト豆記者のおしゃべりインタビュー!

今月の話題の人は

ハンギングバスケットで街を美しく
『上田奈美』さんです。


■■■園芸の楽しさをひとりでも多くの人に伝えたい!
■■■■■■■■「ガーデニングは花材選びが大切です」


 鳩ヶ谷市役所で3月30日に「商店街花いっぱい運動・園芸教室」が開催され、参加した花好きの市民がガーデニングに汗をながした。みんな楽しそうだ。
最近、「花育」という言葉も聞かれるようになってきた。そこで、このイベントの講師で、花と緑の街づくりを提唱し、植物を育てる楽しさを伝え、より豊かな社会にしたいと各方面で活躍している日本ハンギングバスケット協会の理事で、日本家庭園芸協会認定のグリーンアドバイザーの上田奈美さんに、園芸にたいする思いについてインタビューした。


ハト豆:

園芸との出会い、キッカケはなんですか?

上 田:

子どもが生まれるまでは、花育てとか園芸にまったく興味がなかったんです。慣れない子育てに追われる毎日の中で、自分の時間が持てず、OL時代の楽しかったが思いだされ、社会からも取り残されたような不安感でちょっとブルーな気分の時期に、たまたま花をひとつ育てた。それまで興味のなかった花や緑を育てることで、どこかほっと潤いに満たされることに気づいたのです。成長していくのが目に見えてわかる花育て。子育中はすぐ答えがでないけど、お水をあげて陽に当てるだけで、こんなにきれいな花が!植物を育てる楽しさを少しずつ感じはじめ、好きなことを生涯の仕事にできたら幸せかなあ。子育てで家にいなければいけない境遇のいま、資格を取得して次のステップにつなげられたらと考えはじめました。

ハト豆:

実際に仕事を始められたのはいつですか?

上 田:

子どもが3人いるんですが、一番下の子が2歳になったとき3人とも同じ幼稚園に入れて32歳から仕事を始めました。

ハト豆:

そのときご主人はどうでしたか?

上 田:

結婚しても仕事をしたいというのが希望だったので、私が子どもを産んで家庭に入ってしまったことは、彼から、あれっ、「仕事するんじゃなかったの、好きなことすると言ってたいのにどうしたの」と逆に言われていたので、やっと『花』を見つけて、『花』を始めることに関して、応援してくれています。家に篭もってモンモンとしているよりは、頑張っている元気な奥さんの方がいいみたい。

ハト豆:

ハンギングバスケットについて教えてください。

上 田:

地植えで花壇に植えるのではなく、容器に植えて育てた草花を空中や壁に掛けたり吊るしたりして空間を飾る立体花壇です。イギリスが発祥の地で、空中の目にとまりやすい高さに飾るのでインパクトがあって、ひとつあるだけで一瞬にしてその場が華やかになり、広い庭がない小さな空間でも花と緑を楽しむことができます。

ハト豆:

いつごろからハンギングバスケットに興味を持ったのですか。

上 田:

まさしくガーデニングブームのときに花が好きになり、その中でビズという園芸雑誌があるのですが、大変見事なハンギングバスケットの写真を1枚みて、「こんな美しい花飾りを私作ってみたい」と一瞬にして魅了されました。
そうしたら、その本の記事の中に、日本でこのハンギングバスケットに関する、講師の資格制度を始めますという記事を同時に発見しました。そのとき私は受験資格の前提状況に該当していなかったのですが、「是非受験させて欲しい」と手紙を出しました。

ハト豆:

すごく積極的ですね。

上 田:

そのときは何かにとりつかれているんですね。欲しいと思ったら絶対欲しい一心で。怖いものなしですね(笑い)。ビズ編集部宛に出したのですが、関係者にまわしていただけて、最終的に晴れて受験することが出来ました。

ハト豆:

資格を取得するのは大変でしたか?

上 田:

幸運に幸運を重ねて資格は取れたのですが、分からないことはいっぱいありました。植物にたずさわっている園芸研究家と言われる方々はきちんと学ばれていて、園芸科を卒業されているとかまさしく学歴がきちんとある方々が多く、その中で私は講義として人から学んだことがなくて、本からの独学だったので、たとえば「宿根草」といって毎年咲く植物のことなんですが、私はこれをなんて読んでいいか分からなかった。みんなの会話の中から、そうか、あれは「しゅっこん」って読むんだ、なんて(笑い)。資格は取れたものの植物についてみんなの輪の中に入ったとき自信をもってしゃべる言葉がわからなかったんです。まったくゼロでしたね。ゼロからその人たちの中で見聞きして覚えました。

ハト豆:

最初は三越に就職されたのですね。

上 田:

偶然、日本橋三越にチェルシーガーデンが来月オープンするという話を聞いて、これは飛び込むしかないと思い、「資格は持っています」と大きな顔をして面接を受けにいきました。実は96年にハンギングバスケット資格の第1期生でまだ世の中で知られていなかったのですが、スゴイ資格みたいなふりをして受けました。試験官が大変温かくいい人で、私の熱意に負けて採用していただけました。(笑い)

ハト豆:

そんなことはないでしょう。実力ですよ。

上 田:

いえ、本当に実力もなにもないんですよ。それで、入ってからスタッフとして植物に触れている人たちや園芸科の学歴のある人たちから、勤務中にあらゆることを学びました。だから電車で三越に通っているときもこんな大きな辞書を持っていかないと、「この植物はどう育てるのですか」なんてお客さんに聞かれても答えられない。まったく丸暗記だけで試験は通ったんですが、植物についての質問が本当は怖かったです。質問を受けるとすぐ裏に走って行き、辞書を広げて確認して答えるという繰り返しが私の最初の2年ぐらいでした。その経験がいまに繋がっています。聞かれるのは怖かったけれど、逆に植物を調べることによってお客さんと一緒に一つ一つ覚えていけました。
屋上だったので夏は灼熱地獄、冬は雪の中、スタッフとしてやらなくてはいけないので大変でしたが、好きなことを仕事にできている喜びに溢れ、うれしく、どきどきしながら毎日勤務して、でもそれがいま思えば楽しかった。ふるさとはどこ?と聞かれたら三越のチェルシーガーデン。そしてそこでみんなに教えてもらったことが私のベースになっていると思います。だから現在は園芸教室で月に1度くらいしかけないのですが、いつ行ってもホットする空間です。



ハト豆:

テレビ埼玉の園芸番組出演のキッカケは?

上 田:

それも偶然で、所沢で「国際バラとガーデニングショー」という5月にいつも開かれているイベントがあるんですね。それにハンギングの協会の一人として協力をしている時に声を掛けられて、私でよかったらと園芸番組「ゆめ色ガーデン」に2001年夏より一時休止も含み、2006年9月まで226本に出演しました。

ハト豆:

発祥の地、イギリスには行かれたのですか?

上 田:

はい、やはり本場には行きたいと友達との珍道中でしたが行ってきました。

ハト豆:

イギリスの街を歩いて、どんな感想を持たれましたか?

上 田:

気候も違うんですが、街にあって植物の華やかに咲き誇っている姿は、私が日本で見たものとまったく違ってすごく美しくて、写真で想像していたよりも、やっぱり本物は違うなあと感激しました。

ハト豆:

ヨーロッパと日本、風土や街並みの違いの中で、日本の街にあうハンギングバスケットについて、どんなイメージを考えていますか?

上 田:

ヨーロッパは石の構造物が多く花飾りのハンギングバスケットが美しく調和すると思っていますが、実は日本の木造建築にもハンギングがよく合うのです。また都会のビジネス街などの無機質な壁面にも花色が加わることによって新しい発見があり、飾ってみるとよくマッチしている。日本の街並みは思っているよりも無機質でアイボリーやグレー系の無彩色の壁が多く、逆に商店だったりすると原色の看板だったり、ゴチャゴチャに入っているというのが今の日本の風景だと思うんですね。
色づけ している看板とか旗とかじゃなく、花で飾る。想像しているよりは日本の街並にもよく合うので日本でも広がっていってほしいと思っています。ただ日本では、ハンギングを吊るすとか、掛けるとかヨーロッパのように歴史がないので様々な法規上の問題があり、厳しくて、許認可に時間がかかり、簡単ではないのですが、少しずつですが実現化されてきているのがいまの現状と思います。海外だと警察だったり、郵便局だったり、公共の場所の壁面やエントランスにハンギングを飾るんですね。無機質で寂しいとか、簡素な場所を華やかにハンギングバスケットにて花装飾することにより、日本の街並みも変わって欲しいと夢みています。

ハト豆:

鳩ヶ谷の「園芸教室」は2年目ですが、感想はいかがですか?

上 田:

園芸教室に参加されているみなさんのお花への熱意がよくわかるし、実技作業のパワーは嬉しいことですね。「商店街花いっぱい運動」で街も綺麗になって行くし、実際そこに住んでいる人の手によって育てられて行くのが一番いいんですね。園芸を支えくださっているのは高齢の方が多いんですけれども、育てる喜びを分かっていらっしゃる方が多いので、すごく良いことだと思います。園芸は若返るひとつの要因だと思いますし、体力もある程度使いますし健康にもいいですし、鳩ヶ谷市民バンザイという感じで、すごく楽しいですね。今日もとても楽しかったです。

ハト豆:

若い人たちの園芸についてはどう考えていますか?

上 田:

日本の園芸を支えている人たちは50代、60代の女性が多いのですが、やっと今、「食育」にあわせて、「花育」という言葉が生まれてきているんです。イギリスでは普通に小さいころから挿し芽とか挿し木、花ガラを摘んだりすることが生活の中にあるんですけど日本にはないんですね。日本でも、花を育てるとか、花に触れる生活を幼稚園や小学校レベルからやって行こうと、やっと国も今年度から動きはじめました。根付の植物を育てて愛でる方向の花育を進めていきたいと思っていますので、上の世代だけじゃなく、若い世代からも園芸人口を増やしていきたいというのが今の夢です。そして、園芸といったらNHK「趣味の園芸」というテレビ番組しかないのですが、由緒正しい先生がノ指導するだけではなく、面白おかしく、楽しく学べるテレビ番組ができて園芸についてアピールできたらなあと思っています。それから、これはPRなのですが(笑い)産経新聞の木曜日隔週の家庭面のガーデニングの欄にコラムを書くことになったので、是非、読んで頂けたら嬉しいです。

ハト豆:

ますますのご活躍を期待しています。ありがとうございました。

上田奈美さんのホームページ

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